(変更)赤ん坊が好きな泥棒(昔話)
一度別のお話を載せましたが、
こちらの話に変更しました。
ナイスをつけてくださった皆さん、
申し訳ありません。
☆★☆
むかしむかし、泥棒が、
ある家の天井裏に忍び込みました。
下を見ると、お父さんとお母さんと赤ん坊が眠っています。
昼間の仕事の疲れからか、
お父さんとお母さんは起きる気配がありません。
「しめしめ、よく眠っているぞ」
泥棒が安心して下へ降りようとすると、
まん中に寝ていた赤ん坊が、
ぱっちりと目を開けました。
「しまった」
泥棒は、あわてて天井裏へ戻りました。
すると赤ん坊が、今にも泣き出しそうな顔でこっちを見ています。
「弱ったぞ。こんなところで泣かれては大変だ」
そこで泥棒は、ペロリと舌を出しました。
そのとたん、赤ん坊はにっこり笑いました。
「よしよし、いい子だ、いい子だ」
次に泥棒は口をとがらせて、
ひょっとこのお面みたいな顔をしました。
それを見て、赤ん坊はまた笑いました。
「あははは。何て可愛い赤ん坊だ」
泥棒はこの赤ん坊がすっかり気に入って、
手を動かしたり、おもしろい顔をして見せたりと、
仕事も忘れて赤ん坊をあやしていました。
「コケコッコー!」
そのうちに一番鶏が鳴き出しました。
気がつくと、外はだいぶん明るくなっています。
「しまった。夜が明けてしまった」
泥棒は赤ん坊に手を振ると、
何にも取らずに逃げて行きました。
おわり