昔話「はまぐりひめこ」
「はまぐりひめこ」その一
昔ある漁村にひとりの若者とそのお祖母さんが
暮らしていました。
食べるだけでかつかつの暮らしでしたが
両親が亡くなったあと
若者はお祖母さんをとても大切にしていました。
ある日若者は海に船を出しました。
でも採れたのはちいさなはまぐりがひとつだけ。
これだけではどうしようもないと若者が思っていると
はまぐりはどんどん大きくなり
ひとりの娘に姿を変えました。
「私ははまぐりひめこと申します。
あなたの家に連れて行って下さい」
若者は「うちには食べるものもあまりないし
連れてはいけない」と断りましたが
再三娘にお願いされて
ついに娘を家に連れて行くことになりました。
若者が娘を連れ帰ると
お祖母さんは「可愛らしい娘さんがござった」と
たいそう喜びました。
そして三人で少ない食べ物を分け合い
ささやかな夕餉をとりました。
つづく
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「小公女」表紙コレクション その二
ずいぶん大人っぽい表紙。
今時の表紙
憂いを帯びた表情。
↓たぶん酒井駒子さんの絵。