人魚姫 その五
彼女を迎えに来た新しい仲間の風の精が
こんなことを教えてくれました。
「私たちの仕事は
爽やかな風を送って、辛い思いをしている人を
元気づけたり、
暑いところで苦しむ人を助けたり、
花の香りを運ぶことなの」
「そしてこの仕事を300年続けると
人間と同じように永遠の魂を得ることが出来るのよ」
ある春の日、
王子と妻は連れだって浜辺を歩いていました。
王子が妻に言いました。
「海を眺めていると、なぜかわからないけど
悲しい気持ちになることがあるんだよ」
その様子を眺めていたひとりの風の精が
妻の頬に優しい風を吹きつけました。
そして王子に向って笑いかけると
仲間たちと一緒に
バラ色の雲の中に消えていきました。
おわり
(あらすじはウィキペディアの「人魚姫」の頁を
参考にしました。)
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「王子を見つめる人魚姫」いわさきちひろ