おじいさんとタマ その二
おじいさんとタマ その二
「畑に行っても、
もうおじいさんはいないんだよ。」
家の人はタマに何回もそう言い聞かせましたが、
タマは畑に行くのをやめませんでした。
毎日毎日、畑に行って
夕方になると、とぼとぼと帰ってくるのでした。
何度も季節は巡り
タマも年を取りました。
ある春の日、タマは夕方になっても
なかなか家に帰ってきません。
心配した家の人は
タマを迎えに行きました。
耕す人のいなくなった畑には
タンポポの花がたくさん咲いていて
その中でタマは息を引き取っていました。
夕陽に照らされたタマの顔は
眠っているようにも
笑っているようにも見えました。
「タマは今頃おじいさんと一緒にいるんだよね」
家の人はタマの亡きがらを
畑の隅に埋めてやりました。
おわり